第5話 「初内見。いろいろなワケに首ったけ〜。」

「築1年の木造2階建て3LDK、土地面積約70平米、建物面積約70平米、駅徒歩18分」、
なぜだか当初価格から800万円値下げされた注目物件へいざ突入する僕カナモト。
いろいろビックリな展開もありつつ、夢のマイホーム取得へ向け、
ストーリーはジェットコースターのように(?)進んでいきます。

築1年で売り出しのワケに、いかほど〜。

いよいよ物件の中へ、案内してくれたのは、
アディダスの3本線セットアップに身を包み、ニューエラのキャップを被り、
どことなく90年代カルチャーを感じさせる40代後半くらいのおじさん。この人が売主さんだ。
そして、やたらキラキラしたメイクと服装が特長的な美容部員上がり風な担当営業さん。
2人ともどことなく怪しい雰囲気を感じたのだが、それはさておき内見に集中した。

間取りは2階建ての3LDK、広さは約70平米。
1階にそれぞれ7帖・5帖・5帖の洋室が3部屋に、トイレ。
2階に15帖のLDK・バスルーム・トイレという配置であった。

まず見せてもらったのは1階。もうここから度肝を抜かれたのだった。
洋室3部屋には家具らしきものは一切なく、それぞれルームランナーとラットプルダウンマシン、
ベンチプレス、極め付けは巨大なチェストプレスマシンがセッティングされていた。

間取りイメージ(カナモト作成)。
2Fが居住スペース、1Fがプライベートジムスペース。
今思うと、売主さんは毎晩どこで寝ていたんだろう笑

僕もサノさんも言葉を失っていた。
ただ、心の中では「いかほど〜」とIKKOさん風に叫んでいた。

すると売主さんが口を開いた。 「いやぁ、実はパートナーがプライベートジムをやりたいっていうことで、
 部屋もつくって、いろいろとマシンも用意したんですよ。
 ただ、お別れしちゃったんで売却することにしたんです。」
(どうでもいいが、売主さんはガリガリ体型だった。)

合点がいった。築1年で売り出されていたのは、そういうわけがあったのだ。
普通の人なら“縁起の悪い物件”と思うかもしれない、ただ僕はシングルだし関係ない、
こうしたエピソードも含め、笑って受け入れられると思えたのだ。
売主さんのパートナーはクロスフィットトレーナーのAYAさんみたいな人だったのかな
と要らぬ想像までしていた笑

続いて案内されたのは2Fリビングと水廻り。
ほぼ新築?と思えるくらいに使用感も少なく(食洗機はなぜか不使用!)、とても綺麗であった。
低層住宅専用地域に位置しているため、周りには高いビルがなく、
窓からの眺望も素晴らしく一目で気に入ってしまった。
訪問したのは2020年11月1日(日)のお昼頃、Tシャツに軽い上着を羽織っていたのだが、
部屋は暖房を入れているかのように暖かく感じた、いやむしろ暑いくらいだった。
「2階リビングは日の光が入りやすく、秋冬はとても暖かいんですよ。
 ただ、夏時期はとても暑いので冷房は必須ですけどね。」とサノさんが教えてくれた。

ただ総じて印象はとても良かった。むしろ、ここで暮らす風景が朧げながらに浮かんでいた、
僕も軽く筋トレを嗜むのでペンチプレスくらいは置いていってくれないかなとも思っていた笑。
売主さんに頼んで、再度部屋をぐるっと巡らせていただき、1人で暮らすには充分な広さ、
将来的に3人暮らしくらいまでなら対応できそうだなどとイメージしつつ、内見を終えた。

800万円値引きのワケに、ナットク〜。

実はこの後、サノさんが用意してくれたもう1つの物件を見に行くことになっていた。
1件目から歩いて5分ほどにある物件で
「新築の木造2階建て3LDK、土地面積約83平米、建物面積約82平米」というスペックだ。
間取りは1階に15帖のLDKとバスルームとトイレ、2階にそれぞれ7帖・5.5帖・5帖の
洋室に、トイレが付くという配置であった。

「えっ、新築!?」とこれまでのストーリーを読んでいただいた方は思ったかもしれないが、
嘘偽りのない“新築”である。価格は1軒目の物件価格に+200万円という驚きの設定で、
カナモトでも買えるかな〜と想定していた金額のギリギリ範囲内であった。
むしろ、徒歩圏内に新築物件があるために1軒目の築浅1年物件は、
当初の販売価格よりも800万円も値下げせざるを
得なかったのではないかというのは、サノさんの見立てだ。
それにしてもカナモトでも買える金額で、新築物件があったのは驚きだった。

サノさんに先導され、まもなく着いたのは青と白を基調としたモダンな印象の物件。
とてもオシャレなのだが、昼なのにどこか寒々しい印象があった、そう日が当たっていないのだ。
1軒目は南向きであったが、この2軒目の物件は北向きであった。
中に入ってリビングに足を踏み入れても中は暗く、薄ら寒かった。
「日当たりでここまで変わってしまうんですね〜」とサノさんに伝えつつ、
一応各部屋チェックしたが、どの部屋もひんやりとしていて暗く、
心動かされることなく、足早に物件を後にした。
むしろ、1軒目の物件に対して想いが増す結果となったのだ。
(後に分かったことだが、コロナ禍や日当たりが原因で2軒目の物件は
 出来上がってから半年以上売れていなかったらしい。
それも新築ではビックリするほどの価格設定にも繋がったようだ。)

途中の駐車場で停めた車まで歩きながら、サノさんがおもむろに口を開いた。
「今日、2軒ご覧になられていかがでしたか〜?」

カナモト

「うーん、正直1軒目にはかなり心を動かされています。」

サノさん

「あの物件は私もかなりオススメです。
 築1年の物件があの価格帯で出てくることはまずないですし、
 私も見させていただいて建物の構造や間取り的にもすごく良い印象を受けました。
 私は物件のメリットもデメリットもきちんと伝えるのですが、
懸念点であった、築浅すぎる点や価格の安さも売主様事情だったということがわかりましたし。」

カナモト

「あー、そうですよね。デメリットがほぼないですもんね。
 前向きに検討してみたいと思います。」

サノさん

「決して脅すわけではないんですが、いい物件って、
 突如として申し込みが殺到するケースがありますので、
 それだけは伝えておきます。」

僕は「そうですよね〜」と悩ましげに答えた。
ただ、“築浅1年”と“当初価格より800万円値下げ”のワケがわかった今、
(実は事故物件なんじゃないか…などと思っていたが、その心配もなく)
心の中ではもう決まっていた。
こんなチャンスは2度とないかもしれない、これはもう買うべきだろうと。

カナモト、ローンの事前審査を勧められる。購入へフルスロットル〜。

車に乗って、自宅までの帰り道の道中、
「実は内見するのは今日が初めてだったんですけど、1軒目がすごく気に入ってしまって、
 もっと他の物件も見て検討してみた方がいいんですかね〜」とサノさんに軽くジャブを打ってみた。

サノさん

「えー、そうだったんですか。もちろん比較検討はした方がいいと思いますけど、
 先ほども申しましたように、いい物件は突如として申し込みが入りますから。
 カナモトさん、もし本当に1軒目の物件をご検討なさるのであれば、
 住宅ローンの事前審査だけ先に進めてみませんか?」

カナモト

「えっ(かなり心臓をバクバクさせながら)、それってお金かかるんですか?」

サノさん

「いえいえ、かかりません。安心してください笑。事前審査を先に進めておくと、
 カナモトさんが銀行から”借りられる金額”つまり“物件を買えるかどうか”が分かるので、
 物件の申し込み・購入を進めるにあたってもスムーズに動くことができるんです。
 失礼ですが、カナモトさんは去年の年収どのくらいでしたでしょうか?
 あと赤字になったことってありませんよね。」

カナモト

「そーなんですね。 赤字はないです、ないです。年収は、去年は確か〇〇〇万円くらいです。」

サノさん

「それなら十分に事前審査も通ると思いますよ。
 個人事業主の方は審査対象となる1度でも赤字が出ているとローンが通りづらいんです。」

カナモト

へぇー、良かったです。それならひとまず審査進めてみたいです。」

と会話を続けているうちに、自宅近くのコンビニに到着した。
5日後の11月6日(金)11時〜、近所の喫茶店でサノさんから住宅ローンについての
説明をしてもらい、ローンの事前審査の申し込み資料への記入を行うことを約束して
この日は帰路についた。ここまでの所要時間約3時間。実に濃密だった。

そして、思ったのだ。あー、僕もついに家を買うのか〜と。
カナモトはもう築浅1年物件に首ったけであった。

この記事を書いた中の人

カナモト タカシ

ライターです。本名でコピーライターとしても活動しています。

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