33歳フリーランス、家を買う。

最終話「33歳フリーランス、家を買う。」

自分と同い年、築33年の戸建住宅の購入を決意した僕カナモト。
内見時の物件の印象があまりにも良く、
サノさんに衝動的に「買います!」と伝えたものの、
即座に購入申し込みをすることはしなかった。内見も殺到しているとのことだが、
もう1日だけしっかりと悩み、考える猶予を持つことにした。
最終的な決断に至った理由、契約までのちょっとした紆余曲折、
そして購入から1年経った今の暮らしについて触れていきたいと思います。

懸念よりもワクワクが優っていた。それだけで良かった。

ハイボール

とても印象の良かった横浜のとある山の上にある、築33年の“ちょい広・軽量鉄骨戸建物件”。
内見終了後、家に帰った夜、ハイボールを飲みながら、
改めていろいろ検討してみたことについて雑記したい。

①“33年”という築年数について

経過し過ぎているというのが、多くの方が感じる印象だと思う。
ただ、軽量鉄骨造ということもあり、その点は少し安心材料でもあった。
また、何度も書いているが僕自身は同い年=33という数字にシンパシーを感じていた。
自分と同じ年に生まれたマイホームと共に、年月を重ねていくことも面白いと思えたのだ。
単純に耐久性という面でも、有名な大手ハウスメーカーの手掛けた注文住宅であり、
売主さん(もともとの施主)は中堅ゼネコンのそこそこお偉いさんらしく、
それなりに考えた上で建てた物件であるから安心だろうと楽観的に考えていた。

②“資産性・将来性”について

築33年ということから建物自体に価値はなく、ほぼ土地だけの値段で
しばらく(もしくは一生?)住める物件を手に入れられるというのも魅力に感じていた。
そして土地はそこそこ広めの約120㎡。周辺地域は再開発計画が進んでおり、
将来的な地価の上昇も期待できるとのことで、僕に万が一の事態が起きた時でも
おそらく売れる土地であるということも大きかった。建物自体も現時点で4LDKあり、
この先に家族が増えたとしても十分に住み続けられる広さであった。
それこそ、僕の希望としては仕事を頑張って稼いで、将来の奥さんや子どもたちに
スケルトンリフォームや再建築をプレゼントしたいと思っているのだが笑

③“物件価格・住宅ローン”について

サノさんに試算してもらった資金計画書によると月々のローンの支払いは、
当時住んでいた賃貸マンションよりも抑えられることがわかった。
お金こそ、住宅購入への大きな懸念点となり得るが、この点は割とあっさりクリアできた。
ほぼ同等の借入金額で、以前の“買えなかった物件”(第8話参照)の際に
ローン事前審査を通過していたことも申し込みにあたっての不安を打ち消してくれた材料となった。

④“リフォーム・住宅設備の交換”について

内見時に感じたのは、
・壁紙と床くらいは変えたほうが、より気持ち良く住めそう
・住宅設備は何ら問題ないが、コンロだけは変えたほうが良さそう
ということだった。
この2点について、引越し前にハウスクリーニング業者に清掃をお願いしたところ、
部屋全体が見違えるように綺麗になり、壁紙・床のリフォームは当面は行わず、
結果的にコンロを変えるだけで、今なお住み続けている。
売主さんが家を大切にしながら住んでいたのだろう、ここでありがとうと伝えておきたい。

⑤“地域・住所”について

かねてから僕は「横浜の中区、もしくは西区のマイホームに住む」ことを夢見ていた。
しかし、実は対象物件があるのは、中区ではなく、中区に隣接する区なのであった。
だから、中区・西区の相場よりも安く、希望予算内でマイホームを手に入れることができたのだ笑
ただ、妥協したわけではない。物件から30秒走ればすぐに中区に入ることができ、
徒歩圏内のアパートには「エレガンス“山の上”」(仮名)といったように、
中区に隣接する区に位置しながら、中区の高級住宅街の地名をあしらった名が多く見られた。
だから、僕も友人・知人に対して聞かれた時には、堂々とこう答えることに決めたのだ。
「横浜の“ほぼ中区”に住んでいます」と。

いろいろな懸念点もネタにしながら、楽しみながら住めそうだと思えたことが大きかった。
そして翌朝、サノさんに「購入を申しみたいです」という旨を伝えたのだった。

まさかの申し込みカブリ。失意、そして歓喜。

人影

購入の意向を伝えてからは早かった。翌日午前にサノさんが僕の自宅まで車で飛んできて、
車内で申込書に記入をして、すぐさま売主さん側の不動産業者に書類を提出しに行った。

ただ、ここですんなりと上手く進まないのが、カナモトの住宅購入である。
提出し終わったサノさんから報告があり、
実は申し込みがもう1件同じタイミングであったということだった笑。

一方は僕カナモト、もう一方は売主さん側の業者が客付けしたお客さんであり、
もうこの時点で僕は「終わった…」と思っていた。サノさんからは、
「あとは売主さんの判断に任せましょう。縁を信じましょう。」ということだったが、
僕が優先されることはないだろう、それでは売主さん側業者に仲介手数料が入らないのだからと。

売主さんの判断を待ち、そしてサノさんの連絡を待つこと、5日間。
僕は何をやるにも入らず、自暴自棄になっていた。
「あー、またしても買えなかった。まだ、この部屋に住み、代わり映えのない生活が続くのか。」と。
ただ、奇跡は起きた。サノさんから連絡があり、売主さんが僕を選択してくれたというのだ。

契約時に売主さん側の業者さんが教えてくれた情報によると、
実はもう一方のお客さんもフリーランスだったということなのだが、
赤字申告をしていたため、ローンの事前審査に通過しなかったというのだ。
どんな理由で赤字になったのかは定かではないが、
僕はフリーランスとして真面目にコツコツと仕事を続けてきた良かったと
この時ほど思えたことはない。縁は繋がったのだ。

自分らしく楽しく生きられる、そう思えたから買ったのだ。

浜辺

2020年10月下旬に最初の“運命の物件”を見つけ、申し込んだものの、売主さん側の事情で買えず。
12月に仕切り直しの家探しをスタートし、13日(土)に内見、
14日(日)に購入申し込みを行い、18日(金)に奇跡の1番手申し込みの知らせが入り、
24日(木)のクリスマスイブに契約を結ぶこととなった。
期間にとしてはとても短いが、僕にとって、それはそれは長い道のりであった。

年明け早々に事前に申請していたローンの本承認が無事に下り、
2021年1月28日(木)引き渡しの日を迎え、晴れて僕はマイホームを手に入れた。
言いようのない嬉しさで僕の胸はいっぱいになった。そして、多分泣いたと思う。

引き渡しに同席した売主さん側の代表の奥さん(60代前半くらい?)もとてもいい方で、
海外赴任中の旦那さんがいて、自分は今1人で山下町のマンションに住んでいること、
息子さんが2人、娘さんが1人いるが、誰も住もう=相続しようとしなかったこと、
近所の人がとてもいい人ばかりであることなどをざっくばらんに話してくれた。

そして、最後にある質問をされたのだ。
「失礼かもしれないけど、あなたみたいな若い人が、うちの家を選んでくれたの?
 子どもたちは古くて大きくて管理が大変だから引き継ぎたくないと言ってたけど笑」と。

僕は答えた。
「僕はフリーランスなんですけど、自分の責任で自由にあれこれ考えてやることが好きで。
 その大変さも含めて、楽しみながら暮らせるのじゃないかと思ったんです。」と。

ここで改めて、僕の住宅購入をサポートしてくれたサノさんと、
関わってくれたすべての人に「ありがとう」と伝えたい。

33歳フリーランス、家を買った1年後の今。

横浜の街並み
この坂をほぼ毎日登り下り。家までさらに急坂が2~3個ある。

この記事を書いている現在(2021年12月末)、
マイホームの購入、引越し、そして住み始めてから1年が経とうとしている。

1人暮らしには広すぎる4LDK、約100㎡という広さは、
サノさんは「大は小を兼ねますから」と言ってくれたが、見事に持て余しており、
ほぼ1Fでしか生活も仕事もしていない笑。ただ、コロナ禍でテレワークが進み、
なんせフリーランスの僕は1日22時間近くをこの家で過ごしている。
狭ければ、きっと心の持ちようも狭くなり、毎日鬱々としていただろう、
持て余すくらいに広くて良かったと心から思っている。

生活圏や交通の便に関しては、横浜のとある山の上に位置するため、
買い物やご飯スポットのある最寄り駅までは徒歩15分~20分かかる。
僕は自転車生活者のため、行きは自転車で急坂を駆け降りて7~8分、
帰りは急坂を駆け上がって12~13分といったところ。
これも織り込み済みでマイホームを購入したのだが、
1年経っても坂を登るのが楽になることはなく、ツラいままだ。
おかげで太ももはカナモトの人生史上一番太くなり、
肉体はサッカー少年だった高校生の頃の全盛期を取り戻しつつある。

そこそこ広い土地にあるこじんまりとした庭については、
むしろ持て余すことなく、趣味・庭づくり、仕事・庭師というくらいに大いにハマった。
ハマりすぎて本業のコピーライターとしての仕事や営業をサボり、収入は下降線を辿っていった笑。
それでも庭に向き合っていると、全然平気で居られるから不思議だ。
これを「庭ーズハイ」と僕は呼んでいる。
いよいよ、ヤバイと思い、今は本腰を入れ、だいぶ回復してきているのでご安心を。

野菜
ハマってしまった家庭菜園の収穫である。

楽しい暮らしの一方で、古い家ならではのアクシデントや不満も少なからずある。
たとえば、洗面台の蛇口が突然ポッキリ折れたり、トイレの排水が詰まりやすかったり、
中古戸建特有なのかはわからないが、今の冬の時期は異様に寒かったり、
住む前は比較的綺麗だと思っていた壁や床なども、住んでいるうちに交換したくなったり。
「いやー、まじか…」と思いながらも、そんなところも折り合いをつけながら、
上手くやっていくのが中古物件ならではの愉しみだと思うことにした、
いや、思わなければやっていけないのだ笑

やっぱり家を買って良かった。

両面立図
売主さんから引き継いだ僕の家の図面である。

この連載は、住宅購入を考え、悩めるフリーランスをはじめとしたすべての人に
ちょっとでも勇気や元気を与えられることができればと思って始めたものだ。
実際にマイホームを購入し、住み始めて1年が経つ僕が最後に伝えたいことは、
「買ってよかった。ただ、生活を圧迫せず、頑張らない=身の丈予算で購入すべし。」ということだ。

会社勤めの方であれば、ある程度年齢や年次とともに給料が上がっていくことを想定し、
ローンも組むということができるかもしれない。ただ、フリーランスに先々の補償はない。
むしろ、コロナ禍の今は尚更どうなるかわからない。
だったら月々のローン支払いが今の家賃と同等、
もしくは下回るくらいの金額で、予算を設定した方がいいと思うのだ。
むしろ、そもそもそれくらいじゃないとローン審査も下りないのかもしれない笑。

僕だって本当はもっと夢を語りたいが、これがカナモトの正直な気持ちである。

個人的な情報なので、書くかどうか、最後まで迷ったが、
こんな僕にも家族ができたことを報告したいと思う。
今、本記事を書いている最中も、「早く終わりにして夜ご飯食べようよ」と
せがんできて、とてもかわいいのである。
この子のためなら、たとえ何があっても頑張れる。

スコティッシュフォールドの「ぼんちゃん」
スコティッシュフォールドの「ぼんちゃん」である。

「吾輩はフリーランスである。妻はまだいない。でも家を買った。
 そして、可愛すぎる猫と暮らしている。」

20代の頃に描いていた人生設計とは完全に真逆をいっている。
本当は妻が一番先のはずだったのだ。
ただ、今の暮らしも悪くないどころか、日々めちゃくちゃ充実している。
これからもマイホームと共に、自分らしく楽しくのらりくらりと生きていきたい。

ここまで読んでいただいた全ての人の暮らしが、
楽しく面白いものとなりますように(完)

この記事を書いた中の人

カナモト タカシ

ライターです。本名でコピーライターとしても活動しています。

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